前回の続き
その後のKさんはいつも通り
お変わりなく過ごされているご様子。
その後何名かカットをし、本日予定の方々は全員終了。
いつも通り掃除が済み、帰り際にスタッフさんへ
例のフタを返そうとした時です。
私「すいません。先ほどKさんからあずかりまして。こちらなんですけど…。」
ス「えっ?あれ?」「なんでこれ持ってるんですか?」
私「えっとー。K さんから渡されたので一応お返ししようと思いまして。」
ス「ほんとですか~!うっそー!ちょっと~来て~。うそだー。」
『・・・なんかまずかったかな(-_-;)』
スタッフさんが2~3人集まり
「えー!うそー!ほんとだー。」というような会話をしています。
それから…
《それはヨーグルトのふた〉
ヨーグルトのふたの事情をうかがいました。
どうやら、例のフタはKさんにとっては宝物らしく、
自分以外の人には決して見せたり触らせたりしない。との事。
スタッフさんはもちろん、ご家族様がいらした際も
絶対にそこから出したり、見せたり、渡したりはしないそうです。
ヨーグルトは個人で注文されており一日おきの朝食時に食べるのが日課。
いわば、2日に1枚しか手に入らない大切なもの。
食べ終わると真っ先にきれいに洗い、きれいに拭いて
大切にしまっているそうなのです。
そんな大切な物を私に6枚もくださったなんて( ゚Д゚)
ヨーグルトのフタをもらって、こんなに嬉しい気持ちになるのは、
後にも先にも、おそらくこの時だけだろうと思います。
せっかくのお気持ちなので記念にもらいたかったのですが、
何かの時の為にスタッフさんに預けて帰りました。
その数か月後、突然Kさんが亡くなったとの話を聞きます。
亡くなるまでの間2,3回ほどカットを担当したのですが、
結局ヨーグルトのフタをいただけたのは、後にも先にもあの時の一回だけでした。
「やっぱりあの時、一枚だけでも貰って帰ればよかったかなぁ。」
なぜだか何度かそう思ったものです。
今でも家で子供がヨーグルトを食べていると、たまに思い出します。
『ねぇねぇ。』
『そのフタさぁ、パパにちょうだい。』
『ん?・・・ダメ~。』
ダメなんかい ( ゚Д゚)
やっぱりもうフタは貰えないみたいですね。
それではまた

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